オンリーイベントの恐怖(2)

 

2.第一の事件

 事件というとちょっと物騒な感じがするが、自分にとっては事件に近いようなもんだったのでこう呼ばせてもらう。

 1で話した通り、自分はゲームAで同人活動を続ける合間にゲームBというオンラインゲームにドはまりし、そのゲームを週末のみではあるが友達や知人同士で集まってわいわい遊んでいた。オンラインゲームといってもゲームBはMMOではなくMOの形なので、数あるロビーのうちから内輪で集まるロビーを決め、そこを根城に週末集まってチャットしたり、部屋(ルーム)を作って4人チームでレベル上げやダンジョン(?)攻略を目指すといった、今となってはシンプルなものだったが、オンラインゲーム黎明期だった当時は斬新でとても楽しかった。

 楽しめた理由の一つはゲームもそうだが、当時公式HPにあったBBS(今となっては化石レベルに近いツリー形式の物)を活用して集まれたのも大きな理由の一つだろう。そこに書き込み、ここでこういう集まりやってます、というと興味を持った人がその場所へ向かい、交流をする、といった具合だった。当時はリアルタイムで交流はまだまだ程遠いレベルだったため、BBSの活用は活発だった。

 そしてそのBBSに自分の友達が、ゲームAで集まりやってます! 好きな人来てね~的な事を書き込みした事で、ゲームAが好きな人たちが、ゲームBのロビーにわっと集まった。他の集まりから合流した人たち含め、毎週末はロビーでゲームAキャラの名前を作ったキャラクターを持ってきて一緒に遊んだりする事が続き、それはそれは楽しかった。

 

 そんな中、2001年11月某日、都内某所でゲームBの同人誌即売会があるとしったのは開催される半年くらい前。自分のところにもそのペーパー(チラシ)がきて、こういうイベントあるんだ! ってゲーム内でも告知した。都内に近い人、遠いけど行きたい人は都内に住んでるゲームB(A繋がりでもある)友達の家に泊まろう! ってことで皆で行くことになった。

 ちなみに俺はそのイベントにはサークル参加はしていない。そのイベントが開催された当時はゲームBの同人誌は作っていなかった(後々作ることにはなるのだが)し、オンリーイベントの開催告知HP見ると、なんとすぐサークルスペースが埋まってしまっていたというのを聞いたからというのもある。

 自分は都内ではないが東京都の隣県だったが、当時はまだ実家を出ておらず実家の両親はゲームに難色を示す人だったため、友達を呼ぶことはほとんどなかった(その後紆余曲折を経て泊まった人は数人いるが)。

 なので当日は自分は一人でその会場に向かった。……事を後悔することになったのは会場ついた直後。

 会場の建物からあふれるほどの人だらけ。コミケ会場はここは?! と見まごうほどの人の行列。そしてその人だかりは全員ゲームBのオンリーイベントに行きたい人だっていうのだから驚いた。俺は一人で向かっていたのと、当時中の人はケータイ(後にガラケーと呼ばれる奴だ)を持っていなかったので、会場で友達たちと落ち合うなんてとてもじゃないが簡単な事じゃなかった。入場待機列に待ったものの、自分一人だけ入ってもな、、、と思っていたら、静岡からやってきたWという友達が目についた。(コミケで何度か顔を合わせている人で現在も繋がりがある)

俺「Wさーん!」

W「あ、俺さん、何この行列?!」

俺「全員待機列だって。入るのにだいぶかかるらしいよ、どうする? 他の皆とも落ち合えてないし……」

 と友達に遭えたので俺は安心したが、ほかの遠方からきている友達やその友達を泊まらせている人たちとも会えていない(因みに泊まらせている友達は顔を少しだけ覚えていた)。どうしようか、と話しながらも俺はいったん待機列から離れた。(さすがに静岡から来た友達を割り込ませるわけにもいかなかったので)

 

 その後、もうだいぶ前の話なのでうろ覚えなのだが、なんとか都内の友達と合流できた。その時実際に遭って話したのは、愛知県、広島県愛媛県沖縄県からきていた人たちだった。もちろん全員女性。うち愛知県の人は前回話した友達である。

 無事に合流して、なんだかんだそのゲームBのイベントは閉場ぎりぎりで入場できたものの、サークルは残っていたが頒布物はほぼなくなっていたのを覚えている。それでも残っていた本を買って、無事に会場を後にした。その時皆でこの後アフター行こうよ、ってなって、都内の友達+4人、俺とWさん、あとオンリーイベントでサークル参加していた人たち、ほか数人とどこかの居酒屋だったかに入り、皆で打ち上げをした。

 最初に知らない人もいるから自己紹介とゲームBのキャラクター名前を教えてってなって、全員こういうキャラクターを使ってまーす、見かけたらよろしくねー! みたいな終始にぎやかなままアフターは終了。もう20年以上前の話なので全く覚えていないのだが、その後静岡の友達を見送りに東京駅まで行って新幹線ホームで別れ、俺は帰路についた。

 全員と別れる前に、次はゲームAのオンリーイベントで会おうね! なんて話しながら。

 

 そんな楽しかった2001年11月の秋葉原の一端、年が明けて2002年に、俺は最初の地獄に突き落とされる事になる。今話してきたゲームBのオンリーイベントで、俺の知らない間に何が起きていたのかを知る羽目によって………。

 

(3)へ続く。